歯科医師の佐藤です。
神保町の一橋講堂と学士会館で開催された第38回口腔腫瘍学会に参加してきました。
学士会館は、「倍返しだ!」で有名な半沢直樹のロケ地で、とても趣のある会場でした。
口腔腫瘍学会は悪性腫瘍、いわゆる「がん」について議論する学会です。
突然ですが、ここで小話を一つ。
昔々あるところにAというお殿様が治める平和な国がありました。
しかし、ある日、Aの国のある地域にBという反乱勢力が現れました。
Bのせいで、今まで平和だったAの国も徐々に乱れていきます。
AもBを排除すべく、色々と手を尽くしますが、なかなかうまくいきません。
おとなしくなったかな?、と思っても、気づけばBはまた勢いを取り戻し、どんどん大きくなるのです。
なぜだろう?そう思ったAは、味方のCを疑ってみることにしました。
Cは、Bを常に監視し、ときには排除し、Aに報告する役割をもっているはずでした。
しかし、実はBは、Cと「闇の協定」を結んでいて、、、
いつの間にかCを自分の有利になるようにコントロールしていたのです。
そこで、Aはこの「闇の協定」を無効化する方法を考えました。
「闇の協定」が無効化されると、「倍返しだ!」とばかりに、AとCは再び協力して、Bを排除し始めました。
さて、Aの国に平和はまたやってくるのでしょうか...
このお話でAはわれわれ「ヒト」です。Bは「がん」です。
そして、Cは「免疫」というとても大事な機能です。
従来の抗がん剤はがん(B)を直接的に排除することを主眼としていました。
近年では、がん(B)と免疫(C)の「闇の協定」がターゲットの全く新しいメカニズムを持つ抗がん剤が注目されています。
この理論の基盤を作ったのは日本人で、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏です。
ただ、どんなに科学が進歩したとしても、がん治療においては、「早期発見」が第一であることに変わりはありません。
お困りのことがあれば、いつでもご相談ください。
ちなみに2枚目の写真は、学会の帰りに寄った渋谷の「あくとり代官鍋乃新」という居酒屋です。美味しかったですよ。